猫のリンパ腫とは?内視鏡でわかる症状と早期発見の重要性
- 侑姫 福原
- 9月24日
- 読了時間: 6分
「最近、愛猫がなんとなく元気がない...」「食欲が落ちてきたような気がする...」そんなふうに感じたことはありませんか?
猫はもともと不調を隠す傾向があるため、わずかな変化に気づくのはとても難しいです。しかし、日常の中で見られるちょっとしたサインが、実は重大な病気の兆候である可能性もあります。
その代表的な病気の一つが「リンパ腫」です。特に消化器に発生するタイプは進行が早く、症状があいまいなことが多いため、発見が遅れることも少なくありません。
そこで今回は、猫のリンパ腫の基礎知識や症状、内視鏡検査の重要性について解説します。

猫のリンパ腫とは?|知っておきたい病気の基礎知識
猫のリンパ腫とは、リンパ球という免疫に関わる細胞が異常に増殖し、腫瘍化する悪性腫瘍です。猫に発生する腫瘍の中でも非常に多く見られる病気のひとつであり、特に「消化管型リンパ腫」と呼ばれる、胃や小腸・大腸など消化器にできるタイプの発生が目立ちます。
この消化管型リンパ腫では、以下のような症状がよく見られます。
・食欲の低下
・嘔吐
・下痢や軟便
・体重の減少
ただし、これらの症状は他の消化器疾患と共通しているため、初期の段階で「リンパ腫」と気づくことは非常に困難です。さらに、診断や治療が遅れると腫瘍がリンパ節や他の臓器に転移し、全身へと広がるおそれがあります。
そのため、リンパ腫は「進行性の病気」であることを正しく理解し、できるだけ早く異常に気づき、検査・治療を行うことがとても重要です。
気づきにくい初期症状|こんな変化はありませんか?
リンパ腫の厄介な点は、初期段階ではほとんど目立つ症状が現れないということです。飼い主様が見落としやすいサインが多く、日々の様子の中で「何かおかしい」と感じたときには、すでに進行しているケースもあります。
以下のような症状が見られる場合は、消化器の不調を示している可能性があるため、注意が必要です。
・食欲が以前よりも落ちてきた
・嘔吐が続いている、あるいは周期的に繰り返している
・下痢や軟便が長期間治らない
・徐々に体重が減少している
・毛づやが悪く、被毛の状態が荒れてきた
・元気がなく、活動量が少ない
これらの症状は一時的な体調不良や環境の変化、加齢による変化と見逃されがちですが、長引く場合や繰り返す場合には、重大な病気の兆候である可能性が考えられます。
また、「たまたまかな...」「もう少し様子を見てから...」と放置するのではなく、「いつもと違うかも」と感じたタイミングで動物病院を受診することが大切です。
猫のリンパ腫と内視鏡検査|なぜ必要なの?
リンパ腫を含む消化器系疾患は、症状だけでは確定診断が難しい場合がほとんどです。というのも、嘔吐や下痢、食欲不振といった症状は、ウイルスや細菌感染、アレルギー、食事の変化など、さまざまな要因でも引き起こされるためです。
そこで、確実な診断のために非常に有効なのが「内視鏡検査」です。
内視鏡を使用することで、胃や腸の内部を直接観察することができ、粘膜の状態や病変の有無を確認できます。さらに、内視鏡によって「生検(バイオプシー)」と呼ばれる組織採取を行い、病理検査にかけることで、リンパ腫かどうかを正確に見極めることができます。
また、内視鏡検査は開腹手術とは異なり、体表に大きな傷をつけることなく実施できるため、猫にとっての身体的負担が少ないという大きなメリットもあります。正確性と安全性を両立した検査方法として、非常に重要な選択肢です。
内視鏡検査の流れ
初めて内視鏡検査を受ける際には、どのような手順で行われるのか不安に思う飼い主様もいらっしゃいます。ここでは、一般的な内視鏡検査の流れをご紹介いたします。
<内視鏡検査の手順>
①絶食
検査前日の夜から食事を控えていただき、胃腸の内容物を空にして観察しやすくします。
②麻酔の実施
猫が動かず安全に検査を受けられるよう、全身麻酔を行います。
③内視鏡の挿入と観察
口または肛門から内視鏡スコープを挿入し、胃や腸の粘膜を丁寧に観察します。必要に応じて生検を行い、組織を採取します。
④覚醒と経過観察
麻酔から覚めた後は、院内で一定時間観察を行い、安全が確認できてからご帰宅いただきます。
なお、麻酔の仕様に不安を感じる飼い主様もいらっしゃいます、当院では事前に健康状態をしっかりと評価し、できる限り安全な状態で検査を実施いたします。検査の目的や流れ、リスクについても丁寧にご説明した上で進めておりますので、安心してご相談ください。
ご家族とのコミュニケーションを大切に|当院の診療スタイル
病気に向き合うときに最も大切なのは、飼い主様と獣医師との信頼関係です。当院では、猫の症状や検査・治療に関して、できるだけわかりやすく丁寧に説明することを心がけており、飼い主様が納得して治療に進めるような診療スタイルを大切にしています。
また、無理に検査や治療を押しつけるのではなく、愛猫の状態やご家族のご意向に合わせて、最善の選択肢をご提案できるよう努めています。「こんなこと相談していいのかな」と思うような些細なことでも、お気軽にご相談ください。
当院では犬や猫はもちろん、ウサギやフェレットといったエキゾチックアニマルにも対応しております(※現在、爬虫類や両生類などの特殊動物の診察は休止しております)。多様な動物種に対応できる体制を整えておりますので、幅広いご相談にお応え可能です。
まとめ|「ちょっと気になる」を放っておかず、早めの相談を
猫のリンパ腫は、進行性の悪性腫瘍でありながら、初期症状があいまいなため見逃されやすいです。しかし、早期発見・早期治療によって進行を抑え、愛猫の生活の質を保ちながら過ごすことも可能です。
その鍵を握るのが「内視鏡検査」です。消化器の病変を直接観察し、生検によって正確に診断できるこの検査は、リンパ腫をはじめとした消化器疾患に対して非常に有効です。
また、当院では猫の健康を守るために、丁寧な診察と飼い主様との対話を大切にしております。不安な症状があるときや、検査について迷われているときには、どうぞお気軽にご相談ください。
犬・猫・フェレット・うさぎ・エキゾチックアニマルの診療は『佐野動物病院』
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