猫が痒がって毛をむしる原因はノミ・カビ?見分け方と対策を解説
- yumi-hiruta
- 8月21日
- 読了時間: 7分
愛猫が頻繁に毛をむしっていたり、グルーミングの時間がやたらと長くなっていたりする様子を見て、「最近なんだか痒そうにしている気がする...」と感じたことはありませんか?
実は、猫は犬に比べて痒みを感じてもそのサインを表に出しにくく、気づいたときには皮膚が赤くなっていたり、脱毛が進んでいたりすることも少なくありません。猫が毛をむしる原因には、アレルギーや皮膚の感染症、ノミなどの寄生虫、あるいはストレスなど、さまざまな背景があります。
そこで今回は、愛猫の痒みの原因を整理し、飼い主様が気づきにくいサインや、日常的に気をつけたいケアのポイント、そして動物病院での治療について、ご紹介します。

猫が痒がる主な原因
猫が痒がって毛をむしる主な原因は、大きく分けて「アレルギー」「皮膚感染症」「寄生虫」「ストレス」などが挙げられます。中でも代表的なのが以下の3つです。
<食事アレルギー>
猫は特定のタンパク質や炭水化物に対してアレルギー反応を示すことがあり、特に鶏肉や牛肉、魚、小麦、乳製品などが原因になることが多いです。慢性的な痒みや脱毛が見られることが多く、犬と違って皮膚症状が目立ちにくいため、食事内容を見直すなど、時間をかけた対応が必要です。
<環境アレルギー>
ハウスダストやカビ、花粉などの環境アレルギーも、痒みの原因としてよく見られます。室内で生活している猫であっても、空気中に存在するダニやカビに日常的に触れていることが多く、掃除を徹底しても完全に防ぐのは難しいという特徴があります。
<皮膚感染症>
カビ(皮膚糸状菌)や細菌による皮膚炎は、猫の繊細な皮膚を傷つけることで発症し、脱毛やフケ、赤みが見られることがあります。特に皮膚糸状菌は人や他の猫にうつる可能性があるため、早めの診断と治療が重要です。
さらに猫は犬と違って、グルーミングによって痒みを紛らわせる習性があります。そのため、一見すると毛並みが整っていても、実は執拗に身体を舐めて毛を抜いてしまっている場合もあり、飼い主様が変化に気づきにくいという点が大きな特徴です。
猫の痒みのサインを見逃さないために
猫の痒みに気づくには、グルーミングなどの普段の行動の中に潜む小さなサインを見逃さないことが大切です。以下のような行動が見られた場合には、何らかの皮膚トラブルが隠れている可能性があります。
<過度なグルーミング>
普段よりも明らかに長時間、何度も同じ場所を舐め続けている場合は、痒みやストレスのサインです。特にお腹や内もも、背中といった場所に集中して舐めている場合は注意が必要です。
<首周りを掻きむしる>
後ろ足で首や顎の周辺を頻繁に掻いている場合、ノミなどの外部寄生虫や食事アレルギーの可能性があります。
<耳の後ろを頻繁に掻く>
耳の周辺をしきりに掻いていたり、耳の中に赤みや汚れが見られたりする場合は、耳ダニや細菌感染、カビなどの皮膚トラブルが疑われます。
<毛玉を吐く回数が増える>
舐める回数が増えると毛の摂取量も増え、結果的に毛玉を吐く頻度が高くなることがあります。これは単に毛づくろいのしすぎではなく、根本に皮膚の不快感がある可能性があります。
飼い主様は、日頃からこのような何気ない変化に目を向け、少しでも気になる様子があれば、早めに動物病院を受診することが大切です。
猫の皮膚ケアで気をつけたいポイント
猫の皮膚は非常に敏感で、人間や犬に比べてデリケートです。間違ったケアは症状を悪化させてしまう可能性があるため、以下のような点に十分注意してください。
<猫用以外のシャンプーは使用しない>
人間用や犬用のシャンプーは、猫の皮膚にとって刺激が強すぎる場合があります。猫専用として設計された製品でない限り使用は避けてください。
<無理にシャンプーしない>
猫は水が苦手な動物です。無理にシャンプーをすると強いストレスとなり、かえって免疫力が下がってしまうこともあります。皮膚の状態に応じて、シャンプーの必要性や頻度は獣医師に相談しましょう。
<人間用の薬は絶対に使用しない>
市販の塗り薬や飲み薬の中には、猫にとって毒性が強い成分を含むものがあります。人間には問題がなくても、猫の体には危険な場合があるため、自己判断での投薬は絶対に避けましょう。
猫の皮膚ケアでは、飼い主様が「良かれと思って行ったケア」が逆効果になることもあるため、必ず獣医師の診断とアドバイスに基づいて対応することが重要です。
動物病院での猫の皮膚治療
猫の皮膚に異常が見られる場合、動物病院ではまず問診と視診、触診などの基本的な診察を行います。そのうえで必要に応じて、皮膚の表面から検体を採取して行う「皮膚検査」や、カビの有無を確認する「真菌培養検査」、「アレルギー検査」などが行われることがあります。
猫は症状を表に出しにくいため、飼い主様が気づいた小さな変化が診断の手がかりになることも少なくありません。「最近よく毛をむしっている」「毛玉を吐く回数が増えた」などの些細な情報も、ぜひ診察時に共有してください。
当院では、その子の皮膚の状態や体質に応じて、オーダーメイドの治療を行っています。低刺激性のシャンプーや、アレルギー対応の食事管理、必要最低限の薬物療法などを組み合わせて、猫にも飼い主様にも優しい診療を心がけています。
分からないことがありましたら、お気軽にご相談ください。
よくある質問(Q&A)
Q:猫が毛をむしる主な原因は何ですか?
A:主な原因としては、食事アレルギー、ハウスダストやカビ、花粉などの環境アレルギー、皮膚の細菌感染やカビ、ノミなどの寄生虫、さらにストレスなどが考えられます。
Q:過度なグルーミングは病気のサインですか?
A:はい、過剰なグルーミングは皮膚の痒みやストレスが関係している場合があります。放置すると皮膚炎を悪化させるおそれがあるため、早めの受診が推奨されます。
Q:室内飼いでもノミに感染しますか?
A:完全な室内飼いであっても、ノミに感染する可能性はあります。人の衣服や靴を介して、屋外からノミが室内に持ち込まれることがあるため、油断は禁物です。
Q:ストレスも痒みの原因になりますか?
A:はい、ストレスは猫にとって大きな負担となり、過剰なグルーミングを引き起こすことがあります。その結果として皮膚が炎症を起こし、さらに痒みが増すという悪循環につながることもあります。
Q:多頭飼いで注意することはありますか?
A:皮膚トラブルの原因がノミやカビ、細菌感染である場合、他の猫にうつるリスクがあります。感染が確認された際には、感染源となった猫の隔離や、同居するすべての猫に対して予防処置を行う必要がある場合があります。
まとめ
猫が毛をむしったり、過剰に舐めたりする行動には、アレルギーや皮膚感染症、ノミ、そしてストレスといったさまざまな原因が潜んでいます。特に猫は、犬のようにわかりやすく痒がることが少ないため、日常的な観察によって小さなサインを見逃さないことが、早期治療の鍵となります。
皮膚ケアを行う際には、その子に合った方法を選び、猫専用でない製品や人間用の薬の使用は絶対に避けてください。当院では、それぞれの体質や生活環境を考慮したオーダーメイドの診療を行っており、猫にも飼い主様にも安心して通っていただける治療を提供しています。
猫の痒みや皮膚トラブルが気になる場合は、早めにご相談ください。猫が健やかに、快適な毎日を過ごせるよう、私たちが全力でサポートいたします。
犬・猫・フェレット・うさぎ・エキゾチックアニマルの診療は『佐野動物病院』
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