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台東区・浅草で安心の犬の膝蓋骨脱臼(パテラ)手術|佐野動物病院の手術実績と回復までの完全ガイド

  • 執筆者の写真: 侑姫 福原
    侑姫 福原
  • 4月30日
  • 読了時間: 7分

更新日:5月6日

「最近、うちの子が後ろ足を浮かせて歩いていることがある」「歩くときに時々スキップするような動きをする」このような様子に心当たりがある飼い主様はいらっしゃいませんか?それは、犬に多く見られる「膝蓋骨脱臼(パテラ)」のサインかもしれません。


パテラとは、膝のお皿にあたる「膝蓋骨(しつがいこつ)」が、本来の位置から外れてしまう状態です。特に小型犬で多く見られる病気で、悪化すると痛みが強くなり、歩行困難に陥ることもあります。


当院では、これまでパテラに対して累計1000件以上の手術実績があり、直近1年でも年間約50件の手術を行っております。また、手術だけでなく、関節炎の進行を抑えることを目的とした再生医療も2024年より導入し、より幅広い治療の選択肢をご提案できる体制を整えております。


今回は、犬のパテラの基本的な知識から、手術方法、術後のケアまで、詳しくご紹介します。



膝蓋骨脱臼(パテラ)とは?

膝蓋骨脱臼(パテラ)とは、犬の後ろ足にある膝蓋骨(いわゆる膝のお皿)が、正常な位置からずれてしまった状態を指します。多くの場合、膝蓋骨は膝関節にある「滑車溝」と呼ばれる溝に収まっていますが、この構造の異常や筋肉のバランスの崩れなどが原因で、脱臼が起こります。


また、パテラには、内側に外れる「内方脱臼」と外側に外れる「外方脱臼」がありますが、小型犬では特に内包脱臼の方が頻繁に見られます。


特にチワワ、トイプードル、ポメラニアンなどの小型犬では、生まれつき関節の構造に弱さがある場合も多く、若齢のうちから症状が出始めることも珍しくありません。



初期症状

飼い主様が気づきやすい初期症状としては、以下のような変化が見られます。


・歩行中に突然スキップのような動きをする

・一時的に後ろ足を浮かせて歩く

・階段の上り下りを嫌がる

・足をかばうような歩き方になる


これらの様子が繰り返し見られる場合は、パテラの可能性があるため、早めに動物病院を受診することをおすすめします。



パテラの診断方法と検査内容

当院では、最新の診断機器と経験豊富な獣医師によって、以下のような検査を行い、正確な診断を行っています。



<視診・歩行検査>

まずは視診や歩行検査で、犬の立ち姿勢や歩き方の異常を確認します。



<触診>

実際に膝蓋骨を手で触って位置のズレや関節の動き、筋肉の左右差や痛みの反応などを丁寧に調べます。



<レントゲン検査>

レントゲン検査によって膝関節の状態を詳しく確認します。膝蓋骨の位置や骨の変形や靭帯の状態など、外科的手術を検討するうえで必要な情報を正確に把握するための重要な検査です。



パテラのグレード(重症度)

パテラは、その程度によって以下の4段階に分類されます。それぞれのグレードによって、治療方針が異なります。



<グレード1>

膝蓋骨は基本的に正しい位置にありますが、足を伸ばして膝蓋骨に指で力を加えると脱臼します。しかし、指を離すと膝蓋骨は自然に元の位置に戻ります。症状がないことも多く、治療は主に経過観察となります。



<グレード2>

膝関節が不安定で、運動中などに自然に脱臼と整復を繰り返します。歩行異常が見られることがあり、症状が慢性化すると関節や骨に悪影響を及ぼす可能性があるため、手術を検討します。



<グレード3>

膝蓋骨が常に脱臼しており、指で元に戻すことはできるものの、すぐに外れてしまう状態です。明らかな歩行障害が見られ、骨の変形も進行しています。この段階では外科的手術が強く推奨されます。



<グレード4>

膝蓋骨が完全に外れたまま戻らず、指で押しても正しい位置に戻す事ができない状態です。足をかばって浮かせて歩くようになり、筋肉や骨への負担も大きくなります。生活の質が著しく損なわれるため、早急な外科的対応が必要です。


当院では、グレード2の段階から手術を推奨しています。特に成長期の犬では、膝の脱臼を放置することで関節炎が進行し、将来的に歩行困難となるリスクが高まるため、早期の外科的対応が重要です。


右膝蓋骨内包脱臼症グレード3 手術前
右膝蓋骨内包脱臼症グレード3 手術前
右膝蓋骨内包脱臼症グレード3 手術後
右膝蓋骨内包脱臼症グレード3 手術後

パテラ手術の種類と方法

パテラの手術方法は、犬の症状や骨の形状によって最適な方法を選択する必要があります。当院では、以下のような代表的な手術法を用いて治療を行っています。



<脛骨粗面転移術>

膝蓋靭帯の付着部である「脛骨粗面(けいこつそめん)」を骨ごと正しい位置に移動させ、膝蓋骨・靭帯・大腿四頭筋が一直線になるように整える手術です。これにより、膝蓋骨が正しい位置に維持されやすくなります。


脛骨粗面転移術
脛骨粗面転移術

<滑車溝造溝術>

膝蓋骨がはまる「滑車溝」の深さが浅い場合、そこに膝蓋骨がうまく収まらなくなることで脱臼しやすくなります。この手術では、溝を外科的に深くすることで、膝蓋骨が正しい位置に安定するようにします。


滑車溝造溝術前
滑車溝造溝術前
滑車溝造溝術後
滑車溝造溝術後

<内側リリース術>

パテラが内側に脱臼しやすい場合、膝蓋骨を内側に引っ張っている靭帯や軟部組織に過度なテンションがかかっています。内側リリース術では、これらの靭帯を部分的に切離して緊張を緩め、膝蓋骨が正しい位置に戻りやすい状態を作ります



<軟部組織の再建術>

内側や外側の靭帯や筋膜などを縫合・補強し、膝関節周りの軟部組織を適切に再建する手術です。リリース術で緩めた部分を補強したり、左右のバランスを整えたりすることで、膝蓋骨の安定を高めます。



<骨切り術>

骨自体に大きな変形がある場合に行われる手術です。大腿骨や脛骨を切って角度を修正し、膝蓋骨がまっすぐ動けるように調整します。変形が強いケースでは、この骨切り術によって根本的な骨の配列を正しくすることが重要です。



膝蓋骨脱臼の手術は、症例ごとに適切なアプローチが異なるため、術前の段階で難易度を完全に把握することが難しい場合もあります。当院では、再脱臼を起こしてしまったケースや、他院では整復が難しかったような症例に対しても、独自の手法を用いてできる限りの整復を行っています。



手術後のケアと回復プロセス

パテラの手術後は、適切なケアとリハビリによって、より良い回復を目指すことができます。手術後から回復までの一般的な流れは以下の通りです。



<手術直後(〜数日)>

術後は数日間、入院下で安静に過ごしながら経過を観察します。痛みや炎症を抑えるための薬の投与や、傷口の管理が行われます。



<退院後(〜2週間)>

退院後は自宅での安静が重要です。傷口を舐めてしまわないようにエリザベスカラーを装着し、抜糸までは、段差の昇降や走る行動は避けましょう。抜糸は、1~2週間ほどで実施します。



<術後2〜4週間>

この時期は徐々に歩行を再開し始めますが、まだ手術した足をかばう様子が見られることもあります。散歩は短時間からスタートし、様子を見ながら無理のない範囲でリハビリを行いましょう。



<術後2〜3ヶ月以降>

筋肉の回復に伴い、徐々に歩き方も安定してきます。この時期には、術前とほぼ同じような活動が可能になることが多く、元気に走り回る姿も見られるようになります。



当院の術後フォロー体制

当院では、手術後も飼い主様に安心していただけるよう、継続的なサポート体制を整えています。定期的な術後診察はもちろん、気になることや不安な症状がある場合には、お電話でのご相談も受け付けています。


また、緊急時にも対応できる体制を整えておりますので、非常時や術後気になることがあった際は、いつでもご連絡ください。


さらに、パテラの発症リスクが高い犬種(例:トイプードル、ヨークシャーテリアなど)に対しては、初診時から生活環境や歩き方を丁寧に確認し、悪化を防ぐための飼育指導も行っております。


なお、高齢などの理由で外科手術が難しい場合には、無理に完治を目指すのではなく、痛みや進行を抑えることを目的とした、内科的治療をご提案しています。それぞれのご家族の状況に寄り添いながら、最善の方法を選択します。



まとめ

パテラは犬で比較的よく見られる関節の病気であり、進行すると歩行障害や痛みを引き起こし、生活の質を大きく損なう可能性があります。しかし、早期発見と適切な治療により、元気に走り回れる生活を取り戻すことができます。


当院では、最新の医療機器と経験豊富な獣医師による診断・手術に加え、術後のケアやフォロー体制も整えております。また、他院で診断を受けた方へのセカンドオピニオンも積極的に承っておりますので、ご不安な点がある飼い主様はお気軽にご相談ください。


飼い主様と大切な家族である犬が、これからも健やかに暮らせるように、私たちが全力でサポートいたします。




犬・猫・フェレット・うさぎ・エキゾチックアニマルの診療は『佐野動物病院』

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