歯の病気/不正咬合について。うさぎ編
- sac1414
- 7月1日
- 読了時間: 4分
こんにちは、台東区浅草の佐野動物病院です😊
今回はうさぎさんの歯について、獣医師の川上がお話します❗
うさぎさんは上下合わせて28本の歯を持ちますが、
・上の切歯(前歯)の裏に小さな歯がある
・犬歯を持たない
・切歯(前歯)だけでなく、臼歯を含めたすべての歯が一生涯伸び続ける
・歯は、上下両方向に伸びる
といった特徴があります。
これらの特徴は、固い線維質の多い植物を食べるうさぎさんにとって必要な機能と言えますが、
歯の嚙み合わせが悪くなる【不正咬合】の原因にもなることがあります。
特に、おやつやペレットなど柔らかい食べ物を好むうさぎさんや
ネザーランドドワーフやホーランドロップなどお顔の丸い【短頭種】と呼ばれるうさぎさんは、
遺伝的に不正咬合が起こりやすいと言われています。

👆上顎に見られる小さな切歯は【ペグ】と呼ばれます。
このペグの存在により、うさぎはげっ歯目ではなく重歯目(じゅうしもく)に分類されています。
前歯の見た目はねずみに似ていますが、歯の本数が異なるためねずみとは異なる種として独立しているのです。
このペグも他の歯と同様に伸び続け、不正咬合の原因になることがあります。

👆健康なうさぎさんの頭部レントゲン写真
犬歯が無いため、切歯(前歯)と臼歯(奥歯)の間にすき間があるのが分かります。
レントゲンでは、口腔内検査では分からない歯根(歯肉に埋まっている歯の根っこの部分)の状態も確認することができます。
お口の中だけでなく、定期的にレントゲン検査を行うことで歯の全体像と歯並びを観察・確認することが大切です。

👆下顎膿瘍を形成したウサギのレントゲン画像(赤い部分が膿瘍)
このうさぎさんは臼歯の不整咬合(矢印)がみられます。
歯列の不整は口腔内の傷や炎症を引き起すことがあり、炎症による膿が袋状に溜まったものを膿瘍といいます。
膿瘍は際限なく肥大し、時に痛みをともなうこともあります。
臼歯の不整や歯根の過長による炎症でできた膿瘍は歯根膿瘍といい、
顎や頬に大きな膿瘍を形成することがあります。
歯根膿瘍が大きくなると食べ物が食べられなくなったり、自壊して出血や排膿が見られたり、 膿瘍のできる場所によっては目が飛び出してくることもあります。

👆下顎の皮下にできた大きな膿瘍です。
膿瘍は大きくなる過程で石灰化をともない、時に壊死病変を形成することもあります。

👆切除した膿瘍からは大量の膿が出てきました。
膿瘍は膿の詰まった袋ごと摘出します。
病巣をまるごと切除すると、予後が良好になることが多いと言われています。
不正咬合は、食欲不振や様々な消化器症状の原因になります。
しかしお家で不整咬合かどうか確認するのは難しく、特に奥歯は専用の器具が無いと安全に観察することができません。
うさぎさんが出す不正咬合のサインを見逃さず、症状が見られたら迅速に動物病院を受診することが大切です。
不整咬合のうさぎさんによくみられる症状として、
食欲不振や体重減少
よだれが増える
口の周りが汚れる
食べ物をうまく噛めない、ずっと口がくちゃくちゃしている
顎や頬に腫れが見られる
などが挙げられます。
こういったサインが無いか、改めてチェックしてみて下さい。
また、不正咬合は
・硬い繊維質(1番刈り)チモシー中心の食生活
・ドライフルーツ等、柔らかいおやつの制限
を心がけることで予防にもつながります。
『自分のうさぎさんが不正咬合か検診してほしい』
『不正咬合っぽい症状が見られる』
『不正咬合にならないために、うちの子にできることを知りたい』
などございましたら、お気軽にご相談下さい🥰
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